田舎暮らし便り

原村に移住し、私が2年目、妻が1年目です。これから移住しようと考えている方の手助けができればと思っています。そして、将来は多くの方たちと友人としての付き合いができれば、お互い田舎暮らしがいっそう豊かになるのではないでしょうか。 「自宅の菜園で野菜づくりに励む田舎暮らしレポーター」
シリーズ1、田舎暮らしを決めた理由 シリーズ2、土地選び シリーズ3、業者選び
シリーズ4、自然環境 シリーズ5、行政 シリーズ6、生活 シリーズ7、仕事
シリーズ8、慣習 シリーズ9、気をつけたいこと シリーズ10、まとめ

シリーズ1 田舎暮らしを決めた理由

田舎育ちの私にとって、年齢とともに都会のリズムが合わなくなり妻を説得。55歳で退職、埼玉県から地方に移住することを決めました。
最初、群馬県、那須、山梨県で探していました。やがて北杜市に絞り探していた時、2年早く茅野市に移住していた知人宅に何度か泊めていただきました。その時、家の暖かさにビックリ、家を建てるならこの設計士さんに頼もうとその頃から決めていました。


シリーズ2 土地選び

その知人が建築設計士の原田さんを紹介して下さいました。その原田さんに相談したところ土地については、一緒に「エコ活動」をしている朝倉さんの会社の土地なら紹介できるというので、現地を見に行きました。今まで数多く見た土地の中で、もっとも条件に合ったものをついに見つけることができました。

理由

  • ・景色が素晴らしい
  • ・北杜市より湿度が低いため高原の雰囲気がある。
  • ・土地代が北杜市より全体に安い。
  • ・標高1100メートル(これ以上の標高では農作物ができにくい。標高が低いと夏暑い)
  • ・別荘地が近くにあり移住者も多い。
  • ・面積が317坪と広い。
  • ・比較的急傾斜がなく大きな災害の記録がない。台風被害も少ない様子。
  • ・私が希望した別荘地でも街中でもなく、中間的なところ。

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シリーズ3 業者選び

蓼科グリーンビュー開発さんの事務所で最初に朝倉さんに会った時、取りつき難いかなと思ったものの、話してみるととても気さくな方で率直かつ明快な対応に感心しました。とくに購入を検討していた土地の近くに小さな牧場があり「風向きによって匂いがあるかもしれませんよ」と、こちらでは、気付かなかった事柄を言っていただいたことはありがたいことでした。

その後、朝倉さんとは茅野市の「エコ活動」で何度もお会いしていますが。ご自身でドングリ、クリ、カエデの種を拾ってきて育て、山に移植したり別荘の希望者にあげたりしています。私も大きくなった苗の植え替えを手伝いましたがなかなか   できることではないと何時も思っています。

建物は、最初に決めていたとおり、原田建築設計士にお願いしました。
原田さんは 「省エネ住宅研究会」の代表で、生活の中でいかにCO2を減らせるか追及している方です。結果、北海道仕様の住宅を上回る家を建てていただき、とても暖かく快適な生活をしています。 原村のような寒いところでも建物の中が暖かければ苦にならないことを実感しています。

原田さんは、その後も大雨が降れば「地下室に水は湧いてきませんか?」「そろそろ蟻が出る季節です。家の周りに薬を撒いて下さい。」「ほかに不具合はないですか?」とちょくちょく顔を出してくれるのはとても心強く有難いことです。

個人的な感想ですが、建築業者の選定でその建物の良し悪しの大部分は決まるのではないでしょうか。そうした誠実な建設業者を見定めるには「多くの業者の話を聞き、すでに家を建てている人の話を聞き、家を見る」ということに尽きると思います。

また、建築主は、何を一番重視したいのか、どのような家を建てたいのか、明確に することもポイントではないでしょうか?これは、土地探しについても同じだと思います。

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シリーズ4 自然環境

原村は、標高差がかなりあるため気温にも大きな差があります。下の方は雨でも上の方では一面の雪というのも珍しくありません。昨年は諏訪湖が凍り、御神渡りができるほど気温が下がりました。家で測った外気の最低気温はマイナス14度4分、それでも地元の人は「随分暖かくなったね」と話していました。

周りには、南アルプス、入笠山、諏訪湖、霧ヶ峰、車山、白樺湖、麦草峠(白駒池)、八ヶ岳と自然がいっぱいで、都会から友人が来るとお手軽な場所では車を使い30分程で行ける白樺湖、霧ヶ峰、八島湿原あたり。もうちょっと足を延ばすと美ヶ原高原、 少し散策は、白駒池一周、軽いハイキングでは入笠山とバラエティーに富んだ組み合わせができます。

<春>  フキノトウ、タラノメ、コシアブラ、ゼンマイ、コゴミなどの山菜が豊富に採れますが 特に、移住者は村の方の迷惑にならないようマナーを守ることも大切なことです。原村は、標高差があるため、下では桜が満開でも上では蕾というようにいろいろな種類の花を長期に楽しむことができます。ちょっと足を延ばせば庭園や公園が多くあって 桜で有名な高遠城址までは車で1時間くらいで行けます。

<夏>  日差し(紫外線)は、夏に限らずかなり強く、特に女性は注意が必要です。初夏には 場所によってはホタルが飛び、条件のいいところでは乱舞していますので子供は大喜びです。

<秋>  紅葉はもちろん綺麗ですが、すぐ近くにキノコがたくさん採れる場所があります。 地元でジコボウと呼ばれているキノコで、みそ汁に入れるととても美味しいです。マツタケも採れると聞いていますがまだ見たことはありません。

<冬>  景色は、冬が一番きれいだと感じています。雪に輝くまわりの山々は荘厳さをもって迫り、木々は雪の花が咲きそろったようです。スキー、ボードを楽しまれる方は近くに いくつもスキー場があるのが魅力です。

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シリーズ5 行政

原村の場合、村が積極的に移住者を受け入れていますので、移住の際は気軽に相談したらいいと思います。また、一時期各地で行われていた大型開発に村が手を出さなかったらしく、比較的財政が健全なようです。

村民の意見が反映され、医療費が中学生までと、65歳以上の高齢者は無料、子供3人目から保育園費用は無料、移住世帯主40歳未満へは50万円支給など、他と比較しても良い制度のある村になったのだと思います。また、村役場の窓口が都市部と比べてすいており、ほとんど待ち時間なく手続きが終了するのはうれしく、職員も親切です。

また、病院は、車で20分以内に総合病院の諏訪中央病院、富士見高原病院があり、私は、近くの原村診療所で高血圧の薬をもらっています。待ち時間は長くても30分くらいです。ある時、待合室に6〜7人が待っていた時、おばあちゃんが「今日は混んでいるね」と言っていました。診察も時間をかけて診て下さり、以前住んでいた 草加市より医療が充実しているようにも感じました。

余談ですが原村診療所では 週一回、医療の充実に尽力されている(“がんばらない”で有名な)鎌田先生が診察をしてくれますよ。

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シリーズ6 生活

原村には、Aコープのスーパーマッケットがあり、食料など日常必要なものは事足りています。日曜大工用品や鉢花、植木などは富士見町のJマートや茅野市のD2、上諏訪の綿半などで買い衣料品は茅野市や小渕沢アウトレットなどで買います。

やはり都市部と比較すると店の数やおしゃれなものがちょっと寂しいのは仕方ないかもしれません。

原村には村が運営する「樅の湯」があり、車で15分内に4ヵ所位は温泉施設があると思います。こちら移住してきて幸せに思う大きなことのひとつに近くに安価な温泉があることです。畑仕事で疲れたとき、運動して筋肉が痛いとき、寒さに体が冷えたとき、温泉に首までつかって目を閉じるとまさに極楽の世界に浸ることができます。

温泉万歳!!

移住者が畑を借りて農作物を作っているのはよく見ますし話も聞きます。原村のところどころに耕作されていない田畑を見ます。農家の高齢化でそのような場所が増えるのではないでしょうか。村の広報誌にこのような農地の斡旋をやっていたと思います。興味のある方は村役場で聞いてみることをお勧めします。

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シリーズ7 仕事

ハローワークは諏訪や茅野にありますが、都市部と比べたら仕事はぐっと少ないのは特にこのご時世では仕方ないと思います。興味のある方はインターネットで検索してみて下さい。季節のパートなら野菜の収穫があります。ただし朝の苦手な方には お勧めできません。出勤は、朝2時、3時ですから。

冬は、スキー、ボードに自信のある方でしたらインストラクターの仕事もあります。

 

シリーズ8 慣習

移住者や別荘が多いため、新規移住者に対する「よそ者」意識は個人的には感じられません。(昔はあったらしい)人間的にはまじめな方が多く農家の方は大変働き者です。

こちらが挨拶をきちんとして誠意をもって接すれば、きちんと返してくれます。そんなところに都市部よりずっと確かな手ごたえを感じています。

こちらには、町内会のような区で地域が分けられていて区に入ると最初だけ5万円(入会金のようなもの)、毎月が2000円かかります。草加市では毎月600円だけでしたので驚きでした。ちょっと前は入区金が13万円だったそうです。金額は各区によって違うそうです。

一番驚いたのは、家ができた時消防団の方が来て、家に放水してお祝いをしたいというので「ご丁寧にありがとうございます。ではお願いします」と言うと「では、1万円お願いします」と言う返事です。消防団という組織の重要性は理解しているし、協力できることはしたいし、「お願いします。」と言ったし、後出しの金額指定に釈然としないながらも意見書を添えてお支払いしました。いやー、都市部から来た者には本当にびっくりでした。移住のときは思わぬ出費があることも念頭に置いた方が無難なようです。

年に3回(地域によっては1回)道路や河川の清掃作業があり、朝6時からは、やはり農家の多いところだなと実感します。都合で欠席すると3000円の出不足金の徴収という厳しいところもあります。地元では「出払い(でばらい)」と呼んでいますが出払いは、近所の方たちとの大事なコミュニケーションの場です。移住者はチャンスととらえ、積極的に出て近所の方たちと仲良くすることが、末長く快適に暮らす方法ではないでしょうか。

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シリーズ9 気をつけたいこと

原村は場所によっては地下水位が高いところが多いようで、このことは地元で多く手がけた建設業者の方がその対策を講じて工事をしているようです。

全国的に名が通った大手建設会社さんですが雨が降った後、合併浄化槽に地下水が逆流してしまい、ポンプで汲み出す騒ぎになりました。また、基礎工事の際、立ち上げたコンクリートの内側に大きな切株があるにもかかわらず、そのまま砂利で埋めようとしていたのには驚きました。ちなみに我が家では家の周りと敷地の高い方に排水パイプ(集水パイプ)が埋めてあり、このような被害にはあわずに済んでいます。

大企業さんも必ずしも安心とは言えないようですが、地元企業さんでも、敷地まわりに排水パイプを入れずに工事を行い、上棟後、水が湧き出し結局基礎をやり直すという事態になった家もありました。地元業者さんでも全面的に信頼できるというわけではありませんが、少なくても地元で営業を続けていて、社長さんをはじめ社員が地元で生活をしていることは、ある程度信頼できるのではないでしょうか。また、不動産業者にしても建築業者にしても自身の生業に誇りを持ち、誠実にお客様に向き合っているか、ここに業者としての大事な姿勢があるのではないでしょうか。

それを見分ける方法の一つは、トラブルの対応姿勢だと思います。このような自然の多い地域では考えの及ばないトラブルが不動産業、建設業ともにつきものだと思います。そのトラブルにどう対応したかでその業者の誠実度が見えてくるように思います。

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シリーズ10 まとめ

私の住んでいる一帯は、朝倉さんの会社の開発地で、私たちより先に2件すでに建っていました。我が家が建て始めた時、ニュースでも連日岡谷の大雨による土石流被害が報道されていました。この原村でも大変な大雨が降ったそうで、前を流れる小川が 濁流となって、川に沿った私道の一部を削ってしまったそうです。その大雨の中、朝倉さんと社長さんがいち早く駆けつけ対処してくれたと先住民が話してくれました。私たち住民は、そういうことの安心感を持ちながら生活していると思います。

住んで、2年目ですが多くの点で満足しています。朝倉さんや建築設計士の原田さんと知り合えたことはとても幸せと感じていて、建てる側と業者という関係だけでなく個人的に付き合いたくなる人間的魅力を沢山持った方たちと思っています。できれば酒を酌み交わしながらもっといろいろな話をしたいと願っている私であります。

 

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畑仕事を始めて1年。周囲の畑の人ともすっかり顔見知り。今年は、8種類の野菜を作りました。たまに昔の仲間とゴルフを楽しんでいます。
O様

一緒に仲間入りしたご近所の方と和やかないいお付き合いをさせていただいています。
窓から見える八ヶ岳がとてもきれいです。
T様


原村に移住して半年が過ぎました。
春から冬へと変わりゆく四季を味わいながら、田舎暮らしを楽しんでいます。
 N様

家族で畑づくりをしています。
フキやウド、クリやキノコなど自然の宝庫。泉野が憩いの場になるよう楽しく励んでいます。いい場所を見つけていただき、ありがとうございました。
S様



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